Solo Exhibition, 2022

Blowin’ in the Wind

SHUN SUDOの本個展が開催される時期は、2022年初頭から開始されたロシアによるウクライナ侵攻が継続されている最中にあたる。SUDO自身は、本展との関わりにおいて、 ボブ・ディランの代表曲「風に吹かれて(Blowin’ in the Wind)」(1963)に不思議なシンパシーを感じると述べている。そのディランの「風に吹かれて」は、黒人の権利を求めて闘争した当時のアメリカ公民権運動を支持するために作られたと言われているが、世界一有名な反戦歌のひとつとして知られる。当然ながら、本展におけるSUDOの制作も、そうした混乱を極める時代の状況から不可避的に影響を被っている。彼が感じるシンパシーも、そうした共通点からやってくるものかもしれない。しかし、数ある「反戦歌」のなかでもSUDOがこの曲に特に共感を覚える理由は、その独特のスタンスにあると考えられる。

「答えは風に吹かれている(The answer is browin’ in the wind)」という歌詞に象徴され るように、この曲は反戦という強い意志に裏打ちされていながらも、決して絶対的な「答え」を聴く者に押し付けてこない。SUDOの作品も同様に、政治的批評性に立脚しつつも、一方的なメッセージとして響くことはない。今回の展示でのメイン・ピースには、彼のシグニチャーである「ボタンフラワー」と一緒に「鳩」が描かれている。平和の象徴として頻繁に使用される「花」や「鳩」というモチーフを用いた表現は、かなり直接的なメタファーであると言えるが、それを自分なりにアレンジしたそうした率直な選択からは、むしろ作家の切迫した感情が伝わってくるようにも思われる。加えて、「ボタンフラワー」が収められている「花瓶」をよく見てみると、最前線で戦闘を行う兵士のヘルメットを逆さにしたようなギミックをしていることに気づく。そのほかにも、薬莢やバズーカ など殺戮の道具として製造された様々な兵器が、SUDOの巧みなアレンジとアプロプリエーションを通して本来の「用途」を失い、アートにおける新しいモチーフとして再生している。

一見すると「ポップ・アート」の系譜に位置づけられるようにも感じられるSHUN SUDOの作品群は、しかし、「ポップ・アート」の作品の多くでは明示的に示されていなかった政治性を備えていると言える。そこには、彼の特性とも言える、文化的系譜のなかに現代 的な要素を織り込む技術が活かされている。加えて、SUDOの作品の特徴である力強い輪 郭線の原風景であるマンガや、海外から輸入されたスケートボードのデッキに描かれた個性的なイラストレーションなどのポップ・カルチャーも彼の芸術実践の核を形成してきた。政治的混迷が日に日に度合いを深める世界において、「アートに何ができるのか」という問いがますます重みを増しつつある。本展におけるSHUN SUDOの芸術実践は、その問いにどのように応答しようとしているのか。自身の目で確かめてみてほしい。

文化研究者 山本浩貴


会期 : 2022年 7月9日 – 7月24日
会場 : elephant STUDIO

 

Solo Exhibition, 2022

Blowin’ in the Wind

SHUN SUDOの本個展が開催される時期は、2022年初頭から開始されたロシアによるウクライナ侵攻が継続されている最中にあたる。SUDO自身は、本展との関わりにおいて、 ボブ・ディランの代表曲「風に吹かれて(Blowin’ in the Wind)」(1963)に不思議なシンパシーを感じると述べている。そのディランの「風に吹かれて」は、黒人の権利を求めて闘争した当時のアメリカ公民権運動を支持するために作られたと言われているが、世界一有名な反戦歌のひとつとして知られる。当然ながら、本展におけるSUDOの制作も、そうした混乱を極める時代の状況から不可避的に影響を被っている。彼が感じるシンパシーも、そうした共通点からやってくるものかもしれない。しかし、数ある「反戦歌」のなかでもSUDOがこの曲に特に共感を覚える理由は、その独特のスタンスにあると考えられる。

「答えは風に吹かれている(The answer is browin’ in the wind)」という歌詞に象徴され るように、この曲は反戦という強い意志に裏打ちされていながらも、決して絶対的な「答え」を聴く者に押し付けてこない。SUDOの作品も同様に、政治的批評性に立脚しつつも、一方的なメッセージとして響くことはない。今回の展示でのメイン・ピースには、彼のシグニチャーである「ボタンフラワー」と一緒に「鳩」が描かれている。平和の象徴として頻繁に使用される「花」や「鳩」というモチーフを用いた表現は、かなり直接的なメタファーであると言えるが、それを自分なりにアレンジしたそうした率直な選択からは、むしろ作家の切迫した感情が伝わってくるようにも思われる。加えて、「ボタンフラワー」が収められている「花瓶」をよく見てみると、最前線で戦闘を行う兵士のヘルメットを逆さにしたようなギミックをしていることに気づく。そのほかにも、薬莢やバズーカ など殺戮の道具として製造された様々な兵器が、SUDOの巧みなアレンジとアプロプリエーションを通して本来の「用途」を失い、アートにおける新しいモチーフとして再生している。

一見すると「ポップ・アート」の系譜に位置づけられるようにも感じられるSHUN SUDOの作品群は、しかし、「ポップ・アート」の作品の多くでは明示的に示されていなかった政治性を備えていると言える。そこには、彼の特性とも言える、文化的系譜のなかに現代 的な要素を織り込む技術が活かされている。加えて、SUDOの作品の特徴である力強い輪 郭線の原風景であるマンガや、海外から輸入されたスケートボードのデッキに描かれた個性的なイラストレーションなどのポップ・カルチャーも彼の芸術実践の核を形成してきた。政治的混迷が日に日に度合いを深める世界において、「アートに何ができるのか」という問いがますます重みを増しつつある。本展におけるSHUN SUDOの芸術実践は、その問いにどのように応答しようとしているのか。自身の目で確かめてみてほしい。

文化研究者 山本浩貴


会期 : 2022年 7月9日 – 7月24日
会場 : elephant STUDIO

 

Solo Exhibition, 2022

Blowin’ in the Wind

SHUN SUDOの本個展が開催される時期は、2022年初頭から開始されたロシアによるウクライナ侵攻が継続されている最中にあたる。SUDO自身は、本展との関わりにおいて、 ボブ・ディランの代表曲「風に吹かれて(Blowin’ in the Wind)」(1963)に不思議なシンパシーを感じると述べている。そのディランの「風に吹かれて」は、黒人の権利を求めて闘争した当時のアメリカ公民権運動を支持するために作られたと言われているが、世界一有名な反戦歌のひとつとして知られる。当然ながら、本展におけるSUDOの制作も、そうした混乱を極める時代の状況から不可避的に影響を被っている。彼が感じるシンパシーも、そうした共通点からやってくるものかもしれない。しかし、数ある「反戦歌」のなかでもSUDOがこの曲に特に共感を覚える理由は、その独特のスタンスにあると考えられる。

「答えは風に吹かれている(The answer is browin’ in the wind)」という歌詞に象徴され るように、この曲は反戦という強い意志に裏打ちされていながらも、決して絶対的な「答え」を聴く者に押し付けてこない。SUDOの作品も同様に、政治的批評性に立脚しつつも、一方的なメッセージとして響くことはない。今回の展示でのメイン・ピースには、彼のシグニチャーである「ボタンフラワー」と一緒に「鳩」が描かれている。平和の象徴として頻繁に使用される「花」や「鳩」というモチーフを用いた表現は、かなり直接的なメタファーであると言えるが、それを自分なりにアレンジしたそうした率直な選択からは、むしろ作家の切迫した感情が伝わってくるようにも思われる。加えて、「ボタンフラワー」が収められている「花瓶」をよく見てみると、最前線で戦闘を行う兵士のヘルメットを逆さにしたようなギミックをしていることに気づく。そのほかにも、薬莢やバズーカ など殺戮の道具として製造された様々な兵器が、SUDOの巧みなアレンジとアプロプリエーションを通して本来の「用途」を失い、アートにおける新しいモチーフとして再生している。

一見すると「ポップ・アート」の系譜に位置づけられるようにも感じられるSHUN SUDOの作品群は、しかし、「ポップ・アート」の作品の多くでは明示的に示されていなかった政治性を備えていると言える。そこには、彼の特性とも言える、文化的系譜のなかに現代 的な要素を織り込む技術が活かされている。加えて、SUDOの作品の特徴である力強い輪 郭線の原風景であるマンガや、海外から輸入されたスケートボードのデッキに描かれた個性的なイラストレーションなどのポップ・カルチャーも彼の芸術実践の核を形成してきた。政治的混迷が日に日に度合いを深める世界において、「アートに何ができるのか」という問いがますます重みを増しつつある。本展におけるSHUN SUDOの芸術実践は、その問いにどのように応答しようとしているのか。自身の目で確かめてみてほしい。

文化研究者 山本浩貴


会期 : 2022年 7月9日 – 7月24日
会場 : elephant STUDIO

 

Solo Exhibition, 2022

Blowin’ in the Wind

SHUN SUDOの本個展が開催される時期は、2022年初頭から開始されたロシアによるウクライナ侵攻が継続されている最中にあたる。SUDO自身は、本展との関わりにおいて、 ボブ・ディランの代表曲「風に吹かれて(Blowin’ in the Wind)」(1963)に不思議なシンパシーを感じると述べている。そのディランの「風に吹かれて」は、黒人の権利を求めて闘争した当時のアメリカ公民権運動を支持するために作られたと言われているが、世界一有名な反戦歌のひとつとして知られる。当然ながら、本展におけるSUDOの制作も、そうした混乱を極める時代の状況から不可避的に影響を被っている。彼が感じるシンパシーも、そうした共通点からやってくるものかもしれない。しかし、数ある「反戦歌」のなかでもSUDOがこの曲に特に共感を覚える理由は、その独特のスタンスにあると考えられる。

「答えは風に吹かれている(The answer is browin’ in the wind)」という歌詞に象徴され るように、この曲は反戦という強い意志に裏打ちされていながらも、決して絶対的な「答え」を聴く者に押し付けてこない。SUDOの作品も同様に、政治的批評性に立脚しつつも、一方的なメッセージとして響くことはない。今回の展示でのメイン・ピースには、彼のシグニチャーである「ボタンフラワー」と一緒に「鳩」が描かれている。平和の象徴として頻繁に使用される「花」や「鳩」というモチーフを用いた表現は、かなり直接的なメタファーであると言えるが、それを自分なりにアレンジしたそうした率直な選択からは、むしろ作家の切迫した感情が伝わってくるようにも思われる。加えて、「ボタンフラワー」が収められている「花瓶」をよく見てみると、最前線で戦闘を行う兵士のヘルメットを逆さにしたようなギミックをしていることに気づく。そのほかにも、薬莢やバズーカ など殺戮の道具として製造された様々な兵器が、SUDOの巧みなアレンジとアプロプリエーションを通して本来の「用途」を失い、アートにおける新しいモチーフとして再生している。

一見すると「ポップ・アート」の系譜に位置づけられるようにも感じられるSHUN SUDOの作品群は、しかし、「ポップ・アート」の作品の多くでは明示的に示されていなかった政治性を備えていると言える。そこには、彼の特性とも言える、文化的系譜のなかに現代 的な要素を織り込む技術が活かされている。加えて、SUDOの作品の特徴である力強い輪 郭線の原風景であるマンガや、海外から輸入されたスケートボードのデッキに描かれた個性的なイラストレーションなどのポップ・カルチャーも彼の芸術実践の核を形成してきた。政治的混迷が日に日に度合いを深める世界において、「アートに何ができるのか」という問いがますます重みを増しつつある。本展におけるSHUN SUDOの芸術実践は、その問いにどのように応答しようとしているのか。自身の目で確かめてみてほしい。

文化研究者 山本浩貴


会期 : 2022年 7月9日 – 7月24日
会場 : elephant STUDIO

 

Solo Exhibition, 2022

Blowin’ in the Wind

SHUN SUDOの本個展が開催される時期は、2022年初頭から開始されたロシアによるウクライナ侵攻が継続されている最中にあたる。SUDO自身は、本展との関わりにおいて、 ボブ・ディランの代表曲「風に吹かれて(Blowin’ in the Wind)」(1963)に不思議なシンパシーを感じると述べている。そのディランの「風に吹かれて」は、黒人の権利を求めて闘争した当時のアメリカ公民権運動を支持するために作られたと言われているが、世界一有名な反戦歌のひとつとして知られる。当然ながら、本展におけるSUDOの制作も、そうした混乱を極める時代の状況から不可避的に影響を被っている。彼が感じるシンパシーも、そうした共通点からやってくるものかもしれない。しかし、数ある「反戦歌」のなかでもSUDOがこの曲に特に共感を覚える理由は、その独特のスタンスにあると考えられる。

「答えは風に吹かれている(The answer is browin’ in the wind)」という歌詞に象徴され るように、この曲は反戦という強い意志に裏打ちされていながらも、決して絶対的な「答え」を聴く者に押し付けてこない。SUDOの作品も同様に、政治的批評性に立脚しつつも、一方的なメッセージとして響くことはない。今回の展示でのメイン・ピースには、彼のシグニチャーである「ボタンフラワー」と一緒に「鳩」が描かれている。平和の象徴として頻繁に使用される「花」や「鳩」というモチーフを用いた表現は、かなり直接的なメタファーであると言えるが、それを自分なりにアレンジしたそうした率直な選択からは、むしろ作家の切迫した感情が伝わってくるようにも思われる。加えて、「ボタンフラワー」が収められている「花瓶」をよく見てみると、最前線で戦闘を行う兵士のヘルメットを逆さにしたようなギミックをしていることに気づく。そのほかにも、薬莢やバズーカ など殺戮の道具として製造された様々な兵器が、SUDOの巧みなアレンジとアプロプリエーションを通して本来の「用途」を失い、アートにおける新しいモチーフとして再生している。

一見すると「ポップ・アート」の系譜に位置づけられるようにも感じられるSHUN SUDOの作品群は、しかし、「ポップ・アート」の作品の多くでは明示的に示されていなかった政治性を備えていると言える。そこには、彼の特性とも言える、文化的系譜のなかに現代 的な要素を織り込む技術が活かされている。加えて、SUDOの作品の特徴である力強い輪 郭線の原風景であるマンガや、海外から輸入されたスケートボードのデッキに描かれた個性的なイラストレーションなどのポップ・カルチャーも彼の芸術実践の核を形成してきた。政治的混迷が日に日に度合いを深める世界において、「アートに何ができるのか」という問いがますます重みを増しつつある。本展におけるSHUN SUDOの芸術実践は、その問いにどのように応答しようとしているのか。自身の目で確かめてみてほしい。

文化研究者 山本浩貴


会期 : 2022年 7月9日 – 7月24日
会場 : elephant STUDIO

 

Coming soon ...