Special Exhibition, 2023
MOMENTARY
歴史の勉強は好きではなかった。過去の出来事より、今や未来にしか興味を持てなかった。日本という国が特段好きだと思うこともなかった。自分が生まれ育った国よりも、海の向こうの見知らぬ国に憧れを感じ、長い時間をかけてあちらこちらを旅した。
ところが、旅をすればするほど日本の素晴らしさを感じ、歴史や伝統に思いをはせるようになった。もしかしたら、僕がなにげなく目にしていた景色や当たり前のように思っていた季節のうつろいは、日本ならではのもの、長い時間が作り上げてきたものなのだと、自由に旅ができるおとなになってようやく気がついた。
両足院の縁側から丁寧に手入れされた庭を眺めたとき、これこそが日本の美だと思った。雲が動くたび、風が吹くたび、表情が変わる。木々や岩や水は、何百年もの間、少しずつ形を変え、色を変えながら、この美しい景色を作り上げてきたのだ。目に見えるすべてが一瞬であり、同時に永遠に思えた。
畏れと誇りを感じながら、僕は作品づくりをはじめた。今まで絵を描きながら自分が日本人だと感じたことはない。むしろそんなナショナリズムと無縁の人間だと思ってきた。でも今回、絵と向き合うたびに自分のなかの日本人が目覚め、筆を走らせた。両足院の景色と歴史がそうさせてくれたような気がする。自分ひとりでは決してたどり着けないところに連れていかれ、自分ひとりでは描けない絵を描けた。この絵を通して、両足院に、京都に、そして僕を育ててくれた日本に、感謝の気持ちを伝えたい。
SHUN SUDO
会期 : 2023年 11月23日 – 12月7日
会場 : 京都 両足院
Special Exhibition, 2023
MOMENTARY
歴史の勉強は好きではなかった。過去の出来事より、今や未来にしか興味を持てなかった。日本という国が特段好きだと思うこともなかった。自分が生まれ育った国よりも、海の向こうの見知らぬ国に憧れを感じ、長い時間をかけてあちらこちらを旅した。
ところが、旅をすればするほど日本の素晴らしさを感じ、歴史や伝統に思いをはせるようになった。もしかしたら、僕がなにげなく目にしていた景色や当たり前のように思っていた季節のうつろいは、日本ならではのもの、長い時間が作り上げてきたものなのだと、自由に旅ができるおとなになってようやく気がついた。
両足院の縁側から丁寧に手入れされた庭を眺めたとき、これこそが日本の美だと思った。雲が動くたび、風が吹くたび、表情が変わる。木々や岩や水は、何百年もの間、少しずつ形を変え、色を変えながら、この美しい景色を作り上げてきたのだ。目に見えるすべてが一瞬であり、同時に永遠に思えた。
畏れと誇りを感じながら、僕は作品づくりをはじめた。今まで絵を描きながら自分が日本人だと感じたことはない。むしろそんなナショナリズムと無縁の人間だと思ってきた。でも今回、絵と向き合うたびに自分のなかの日本人が目覚め、筆を走らせた。両足院の景色と歴史がそうさせてくれたような気がする。自分ひとりでは決してたどり着けないところに連れていかれ、自分ひとりでは描けない絵を描けた。この絵を通して、両足院に、京都に、そして僕を育ててくれた日本に、感謝の気持ちを伝えたい。
SHUN SUDO
会期 : 2023年 11月23日 – 12月7日
会場 : 京都 両足院
歴史の勉強は好きではなかった。過去の出来事より、今や未来にしか興味を持てなかった。日本という国が特段好きだと思うこともなかった。自分が生まれ育った国よりも、海の向こうの見知らぬ国に憧れを感じ、長い時間をかけてあちらこちらを旅した。
ところが、旅をすればするほど日本の素晴らしさを感じ、歴史や伝統に思いをはせるようになった。もしかしたら、僕がなにげなく目にしていた景色や当たり前のように思っていた季節のうつろいは、日本ならではのもの、長い時間が作り上げてきたものなのだと、自由に旅ができるおとなになってようやく気がついた。
両足院の縁側から丁寧に手入れされた庭を眺めたとき、これこそが日本の美だと思った。雲が動くたび、風が吹くたび、表情が変わる。木々や岩や水は、何百年もの間、少しずつ形を変え、色を変えながら、この美しい景色を作り上げてきたのだ。目に見えるすべてが一瞬であり、同時に永遠に思えた。
畏れと誇りを感じながら、僕は作品づくりをはじめた。今まで絵を描きながら自分が日本人だと感じたことはない。むしろそんなナショナリズムと無縁の人間だと思ってきた。でも今回、絵と向き合うたびに自分のなかの日本人が目覚め、筆を走らせた。両足院の景色と歴史がそうさせてくれたような気がする。自分ひとりでは決してたどり着けないところに連れていかれ、自分ひとりでは描けない絵を描けた。この絵を通して、両足院に、京都に、そして僕を育ててくれた日本に、感謝の気持ちを伝えたい。
SHUN SUDO